小早船


 東西に華を競う小早船(西小早船・貴宮丸、東小早船・東明丸)は、貴船まつりの花形です。

 毎年、7月上旬の大安日から組み立て作業が始まりますが、屋形を組み立てる順序や、造花や提灯などの装飾の方法は、非常に難易度が高く、古くから口伝により後継者に承継し、維持されてきたものです。なお、東西2隻の小早船のうち、貴宮丸の屋形部分は弘化2年(1845年)に造られたものです。

 小早船は海上渡御の途上、船体を大きく左右に揺さぶり、観客から歓声が巻き起こりますが、これが可能であるのも船の安全性の保持、あるいは操船の方法等、古くからの伝統が守られている証です。
 
 海上渡御の際、舳には、陣笠、袴姿に脇差をさし、監視の役割をする「舳乗り」が乗船し、艫には船頭と櫂使い、水夫を乗せ、運行に万全を期します。東西2隻の櫂伝馬に曳航され、神輿船、東西囃子船を従える勇壮華麗な姿は、時代絵巻を思わせるもので、多くの観客が魅了されます。

 平成17年11月に横浜みなとみらい地区で開催された「全国豊かな海づくり大会」では、天皇皇后両陛下が西小早船・貴宮丸の海上パレードをご覧になられました。

 東西小早船の彫刻部分は、長年の使用により劣化したため、令和元年度のまつり終了後より3か年にわたる改修工事を開始し、令和2年度には西小早船・貴宮丸が、令和3年度には東小早船・東明丸の改修工事が完了しました。

 台風及び新型コロナウイルス感染拡大の影響による海上行事の中止が続いたことにより、令和5年の水浮け(進水式)は、平成29年以来、実に6年ぶりのものとなりました。


最終更新日:2023年8月11日