鹿島踊り


 鹿島踊りは、相模湾西岸、小田原西部から伊豆北川までのいずれも石材産出にかかわった地域の22社で行われる悪疫退散とともに大漁や海上安全を祈願する神事です。

 各地に伝えられる鹿島踊りの態様はそれぞれ多少の違いがありますが、貴船まつりの鹿島踊りは、他地域が白装束で頭に烏帽子をかぶるのに対して浴衣に揃いの手甲で飾り、無帽です。これは、真鶴に自然の良港があり、江戸時代初期からその文化が流入して、昔から「小江戸」と呼ばれたほど華やかさを誇っていた地域性を反映したものであり、当初の白装束はいつの間にか俗化してあでやかな女装化をとってきたものと思われ、真鶴の開放的な指向がうかがわれます。

 その反面、急坂の多い真鶴で真夏の炎天下に若者たちがひたすら神を尊崇し、神の御前で奉仕する真摯な姿は、修験者にも似た「行」の厳しさをのぞかせ、見る人の心を打つものがあります。

 「貴船まつりは、鹿島踊りに始まり鹿島踊りに終わる」とさえ言われるほど、まつりに密着し、見どころの一つとなっています。


最終更新日:2023年8月11日